宗教法人の再活動②

①行政庁は具体的に何を調べるか
前回のフローを踏まえ、行政庁としてはどのように調査をするのでしょう。紙面の都合上全てを記すことはできませんが、かいつまんでチェックしてみましょう。(不活動宗教法人対策マニュアル (改訂) 令和5年12月 文化庁宗務課より)
・登記簿の確認→地方公共団体職員が職務上請求する場合は手数料免除になる(登記手数料令第18条)
・法人関係者調査→代表役員の戸籍、除籍謄本、住民票写しを市町村から取り寄せる
・責任役員の状況を確認する→おなじく戸籍、除籍謄本、住民票写しの取り寄せ
・法人関係者と連絡を取る
→法人関係者(親族、法人活動状況を知るもの)が不明の場合、被包括宗教法人であれば包括宗教法人に法人関係者の情報提供の依頼。
→所在する可能性のある住所地に都道府県担当者に連絡するよう手紙。
→電話帳、104等で確認する(104サービスは2026年3月31日で終了)。
・法人関係者からの聴取
・境内建物調査→登記事項証明書、公図、地積測量図、建物図面を取り寄せる。
・現地確認→文字通り現地確認。境内等を見に行く。
→確認事項として
1,境内建物の有無、現況(客観証拠の確保)
2,境内居住者がいれば事情確認。
3,境内建物があれば、公道などから目視できる範囲内で郵便物、電気、水道メーター、庭の手入れ状況等の外形から使用の有無を判断する。
・周辺住民への聞き取り
→町内会などからお年寄りを紹介してもらい聴取するのが効果的。宗教法人名のみならず役員氏名についても聞いてみる。
・主たる事務所以外の礼拝施設
→礼拝施設についても写真で記録する。
合併
宗教法人の合併には「吸収合併」と「新設合併」の2つがあります。吸収合併の場合、片一方の宗教法人について維持存続が難しい、または意思がない場合においても、役員の補充が可能(またはすでに揃っている)で、かつ、合併の相手となる法人がある場合に行うことができます。
新設合併は合併をする2つ(または2つ以上)の宗教法人が両方とも消滅して新たに別の宗教法人を新設する方法を言います。
吸収・新設共に合併を行うためには以下の手続きが必要になります。簡単にですが見ていきましょう。
① 規則で定める合併手続きを行う
→規則の定めるところにより意思決定を行う必要がある。規則に別段、特段の定めがない場合責任役員会において責任役員の定数の過半数の議決で決定されます(宗教法人法19条)。ただ、合併は極めて重要な変更なので通常は規則で総代会の同意、包括宗教団体の承認が必要であるとされます。
なお、存続する側の宗教法人が規則の変更を必要とする場合はその存続する側の宗教法人で定める変更手続きを経たうえで所轄庁へ合併の認証申請に含めて認証申請することになります(宗教法人法35条1項)。
あらかじめ宗教法人同士で合併契約書案を作成してから必要な手続きをしておくのがよいでしょう。
① 合併しようとする旨の公告
宗教法人法(以下 法)三十四条 宗教法人は、合併しようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、信者その他の利害関係人に対し、合併契約の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない。
② 財産目録および賃借対照表の作成
法三十四条
2 合併しようとする宗教法人は、前項の規定による公告をした日から二週間以内に、財産目録及び第六条の規定による事業を行う場合にはその事業に係る貸借対照表を作成しなければならない。
③ 債権者に対する公告・催告
法三十四条
3 合併しようとする宗教法人は、前項の期間内に、その債権者に対し合併に異議があればその公告の日から二月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告し、且つ、知れている債権者には各別に催告しなければならない。
4 合併しようとする宗教法人は、債権者が前項の期間内に異議を申し述べたときは、これに弁済をし、若しくは相当の担保を供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなければならない。ただし、合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
④ 合併により被包括関係の設定または廃止をする場合の手続きを行う
法第三十六条 第二十六条第一項後段及び第二項から第四項までの規定は、合併しようとする宗教法人が当該合併に伴い被包括関係を設定し、又は廃止しようとする場合に準用する。
→合併しようとする宗教法人がその合併に伴い被包括関係を設定、または廃止しようとする場合、合併の認証申請の少なくとも2カ月前に信者その他利害関係人に対して被包括関係の設定または廃止に関する規則の変更の要旨を示し、設定または廃止の公告を行います。
合併によりあらたに被包括関係を設定する場合は被包括関係を設定しようとする宗教団体の承認が必要であり、一方で被包括関係を廃止する場合は、その宗教団体へ通知をしなければなりません。なお、被包括関係の設定・廃止の公告は合併の公告と併せて行ってもよいとされています(法三十七条)。
⑤ 所轄庁への認証申請
法第三十八条 所轄庁は、前条第一項の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該合併の認証に関する決定をしなければならない。
→合併認証にあたっては、合併しようとする各宗教法人の連名で行うとともに、各宗教法人の所轄庁が異なる場合は、合併後存続しようとする宗教法人または合併によって設立しようとする宗教法人の所轄庁に申請することになります。
⑥ 登記
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